クマムシさんの出馬表明

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みなさん、こんばんは。クマムシ党総裁のクマムシさんです。


このたび、東京都知事選への出馬を表明しました。本日は、東京を、そして日本をよりよくするためにどうしたらよいかについて、我が党からぜひ提案させてもらいたいのです。

現代社会には、IT革命を発端としたグローバル化の波が押し寄せています。この大きな変化は世界のフラット化をもたらし、国境に関係なく労働機会が与えられます。簡単にいうと、日本のような先進国の富が途上国に流れていくのです。


富が流れることで、途上国の人々はより豊かになっていく。とてもいいことですよね。でもその一方で、相対的に日本の経済力は低下していきます。グローバル化によるこの流れは、もう止められない。


もうどうにも止められないんです。「日本人はオイシイ思いをするのが当然」と考える人もいるかもしれない。残念ながら、その考えはもう通用しません。いくら規制をかけても、無駄です。水が高きから低きに流れるのと同じ原理で世の中は動きます。「既得権益層としての日本人」という概念は消失していくのです。

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とくに、日本国内で働く単純労働者の賃金は下がり続けていきます。途上国の人がより安い賃金で、日本人がやっていたのと同じ仕事をするようになるからです。


一昔前のように、就職後の年数に応じて会社から支給される給料が上がり続けることもなくなっていくのです。今の若い人たちは、自分の親の世代と同じことをして経済的に豊かになれる保証は無いのであります。というか、まずありえないと思っていい。


もし、みなさんが経済的な成功を目指すのであれば、優れたクリエイティビティを身につけて世の中に新しい価値を作り出し続けなければならないのです。これが結構、大変なことなんです。本当に。


そしてこのことは、国としての日本全体にも当てはまるんです。クリエイティブかつインテリジェントな人材を育てて新たな産業を作り出すことが、今後の日本の経済成長には必要だと。だから政治家は、国の成長戦略を必至になって考えているわけです。


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しかし、です。このような人材、つまりトップレベルのスーパー知的労働者になれる人は、現実にはごく一部しかいないんです。その他の大半の人は、単純労働者になる、と。そして、前者と後者の収入の格差は、今後どんどん広がるのであります。


このような状況の中、「みんな頑張ってスーパー知的労働者にならなければダメだ」という風潮が世の中にあるように感じます。「これからは皆が創造的な仕事をできるようにならなくてはいけない」というわけです。


ここ最近はとくに、「ライフハック」だ、「あなたの可能性は無限大だ」、などの無責任な煽り文句で溢れているわけですよ。ほとんどの人が大成功できるわけではないにもかかわらず、です。世の中は「頑張れ病」で蔓延しているな、と。


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こういう風潮だと、頑張らない人は「努力が足りない」「怠けている」「負け組」などというレッテルを貼られがちです。でも、「頑張る自由」があるのと同時に、「頑張らない自由」もあってよいではないですか。


頑張ったからといって全員が成功できるとも限らないのですよ。どんなに頑張っても、経済的な成功を収められるという保証はありません。先程も述べたように、スーパー知的労働者になれる人は、現実にはごく一部の人のみなのだから。


断っておくと、私は頑張っている人のことが好きだし、応援しています。ここでは、マクロな視点から意見しています。マジョリティに焦点をあてているんです。「クマムシは頑張ってる人間を見下してる」なんて誤解はくれぐれもせぬようお願いします。


話を戻しましょう。現代の若者が抱える漠然とした不安感、そしてこの国を覆う閉塞感は、世の中に横たわる「みんな頑張って成功しなければならない」という同調圧力に起因している、と。そう感じるわけです。みなさんもきっと同感でしょう。


ツイッターなど見ていると「格差」「非正規」「コミュ障」などのネガティブキーワードが毎日のように流れてきます。今の若い人たちがいかに世の中に息苦しさを感じ、ストレスを抱えているかが伝わってきます。正直、これにはクマムシでも心が痛みます。


「成功しなければいけない」「きちんとしなければいけない」という強迫観念から、これらのネガティブキーワードが発せられるのでしょう。でもね。私は、皆がそこまで真面目にならずに、もっと肩の力を抜いても生きていってもよいと思うんですよ。


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ストレスを多く感じる社会と、リラックスしていても許される社会、どちらが住みやすいでしょうか?そりゃもちろん後者です。つまり、私はこう思うのです。「具体的な政策云々よりも一人一人の心の持ち方が変わる方が、国全体を良くする」と。


だって、そうでしょう。国民みんなが「頑張らなきゃいけない」なんて過剰に考えていたら、ギスギスしてしまう。「怠けてもいいじゃん♪」って皆が思えば、国全体としてはちょっと貧しくなるけれど、幸福度は上がるに決まってるじゃありませんか。


そういう意味では、日本はもう少しギリシャやスペインを見習っていい。あれだけ経済危機だなんだと言われているけど、ハッピーそうな人々はきわめて多いですから。これはもう、日本と比べると有意差ありのレベルだと断言できますよ。ええ。


ということで、日本国民のみなさんに、我が党から提案させていただきたいことがあります。それは「クマムシのように生きよう」ということです。日本国民は、我々クマムシを見習うべきなんです。


国民のみなさんがご存知のように、我々クマムシは乾燥すると乾眠とよばれる仮死状態になります。この状態では、クマムシは過剰なストレスを受けても何も感じないほど「超鈍感」になっています。そして再び吸水すると、元の活動状態に戻ります。



また、我々クマムシは道端のショボいコケの中で生活しています。


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他の多くの生物は、このようなニッチすぎる環境には住めないため、競争がほとんど起こりません。つまり、我々は競争社会とは無縁なんです。ノーモア・コンペティション。


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それでは早速、我が党から東京都民、日本国民、とりわけ若い人たちに向けて、上から目線で提案させてもらいます。どうかよく聞いてください。


1. 乾く


現代社会は変化が速く、少し先を予測するのも難しい。このような世の中では周りに流されて動くのではなく、あまり動き回らずに乾いてみるとよい。落ち着いて今の状況を見極め、中長期的な視点で世の中の流れを見定めるべきだ。


2. 鈍感になる


ストレスに鈍感になろう。世の中には「頑張らなくてはならない」とか「空気を読め」という同調圧力で溢れている。しかし所詮「人は人、自分は自分」だ。自分の中の価値観を大事にして生きよう。人の目を気にせず肩の力を抜こう。 ビー・ア・クマムシ。


3. 逃げる


我々クマムシであっても、耐え難いストレスに見舞われることがある。こういう場合に直面したら、すべてを投げ出して、とにかく逃げよう。逃げるが勝ちだ。罪悪感をもつ必要など無い。自分が生きてこその人生なのだから。


4. ニッチを生きる


皆と同じレールを歩むことは安心感を生む。だが、それと同時に自分に競争を強いてもいる。皆と同じレールから逸れて、ニッチな環境に身を置いてみよう。競争を離れたところに、自分に最適なワールドがあるかもしれないのだ。


5. 流れに身をまかせる


クマムシは乾いた状態で風に身をまかせて飛んでいく。そして行き着いた新天地に定住することもある。何の計画も無く流されることで、思わぬ幸運に巡り会うこともある。目先のことに捕らわれず、流れに身をまかせてみよう。


6. 諦める


これからは従来型の努力をしても、必ずしも成功するとは限らない。だから、物事がうまくいかなかったときは「こんなもんさ」と諦めることも大事。いいちがっかりしたり傷つくと、疲れてしまう。


以上、クマムシ党からの提案でした。我々の提案に賛同したそこのあなたは、ぜひ今からクマムシ党に入党していただきたい。具体的には、ツイッターフェイスブックLINEでクマムシさんをフォローしていただきたい。そうすればクマムシ党員として認定されます。


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最後にもう一度。「日本の若者たち=日本の未来」です。「日本のすべての若者に幸あれ」。これが、クマムシ党の切なる願いです。ぜひとも、選挙当日はクマムシ党総裁・クマムシさんに清き一票をお願いします。


クマムシ党の主張は以上です。みなさん、ご清聴、有り難うございました!


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※クマムシ党に入党するには、ツイッターフェイスブックLINEからフォローをお願いします。